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児童ポルノ法(以下略)シリーズはまとめページにまとめてます。

なお、今回の改正で二次元規制は見送られそうなので、「その1」「その2」「続編」あたりが争点になりそうです。
今までの記事を読んでいない人のために先に結論を述べると、単純所持罪創設には反対の立場です。

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(追記)
日本ユニセフ協会の活動により、二次元規制もまた再浮上してきました。
二次元規制の問題点については、「その3」「続続編」および「番外編」を参照

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児童ポルノ、持つだけも禁止 自民、厳罰化を検討

今回は、この朝日新聞の記事に反論しておこう。

児童ポルノは、ネットで複製した画像や動画が多数出回っており、これらは海外のサーバーを経由しているケースが多い。このため、発信源となっている所有者を摘発するのが難しいという。

つまり、あくまで児童ポルノに関して問題となるのは、「出回っていること」であり、「流通過程に置く行為が悪い」のだということが前提である。
その上で、発信源となっている所有者、すなわち「流通過程においた者」を特定するのが困難だから単純所持も摘発するという論理である。

依然として、単純所持そのものの害悪が全く示されていない。
このブログでも前から主張しているように、単純所持が何らかの法益を侵害しているというならそれを示すべきであって、それができないなら、何の処罰根拠もなく国家刑罰権を発動させるとんでもない悪法である。

単純所持は悪くないが、専ら捜査の便宜のために刑罰を科すということが堂々といわれているのである。
こんなものを許すべきではない。

また、海外のサーバーを経由していたとしても、日本国内からファイルをアップし、また日本国内でダウンロードされる以上は、日本の刑法が(も)適用される。
日本の刑法が適用されるためには、犯罪行為の一部が日本で行われていればよいのである。


ロス疑惑の三浦容疑者の報道で、よく「アメリカは属地主義だが、日本は属人主義なので、捜査権が両方にある」といったことが言われるが、これは誤りで、日本も基本的には属地主義である。
例外的に属人主義がとられており、一部の犯罪に関しては、海外で犯罪を行った日本人も処罰することができるというだけの話である。



したがって、注意すべきは現行法上も児童ポルノの発信者を摘発することは法的に可能なのである。
そして、仮に現行法で発信者を摘発することが困難なのであれば、改正したところで発信者の特定にはつながらない。
つまり、改正をする論拠としては「発信者が悪い」といっておきながら、専ら捜査を円滑にするためだけに、「発信者であるか否かを問わずに(すなわち、真に法益侵害を行ったか否かを問わず)逮捕を可能にする」というのである。

この改正は、決して「発信者を特定して捕まえる」ためのものではなく、「発信者をその一部に含んでいる集団を丸ごと捕まえれば、その中に発信者もいるから捜査が楽」というものなのである。
極論すれば、殺人犯を捕まえるのが困難だから、とりあえず出刃包丁の購入者を全員逮捕する…みたいなもんである。

これでは、「合法的な別件逮捕」ではないか。
「単純所持を規制してしまえば別件逮捕が増える」との懸念があるようだが、それにとどまらず、法の趣旨そのものが別件逮捕のようなものだといってよいだろう。


警察庁によると昨年1年間の同法違反事件のうち、児童ポルノ関連で立件されたのは567件(暫定値)に上り、5年前の3倍になった。


数字のトリックとはよく言ったもので、5年前から昨年までに何があったかをよく考えてほしい。



2004年(4年前)に児童ポルノ法の改正があったのである。


この改正によって処罰範囲が拡大されているのであるから、5年前と比べて立件された件数が多くなって当然であろう。


このグラフ(PDF)を見てほしい。(上は児童買春で、下にスクロールすれば児童ポルノのグラフ)

改正が平成16年で、翌年の平成17年には既に470件になっている。
明らかに、法改正で処罰範囲が広がった結果、及びそれに触発されて警察が頑張った結果だろう。

したがって、5年前に比べて3倍などという数字は何の意味ももたない。

もし、児童ポルノ法が改正されて単純所持が違法とされると、当然「児童ポルノ関連で立件された」件数は飛躍的に増加する。
すると、また5年後くらいに、「5年前に比べて…」等といって、次は二次元規制に着手することだろう。

こうやって、日本は国民の知らないところでどんどん規制が強化されていくのである。


このデータに意味があるとすれば、16年から17年で飛躍的に検挙数が増えたにもかかわらず、インターネット利用に係るものは増加していないという点である。
ネット利用者数は確実に増加し、画像アップロードの環境も整ってきているのだから、それに対して検挙件数が伸びていない点は注目に値する。
この点は、インターネット利用の児童ポルノの摘発の困難性を証明する一つの資料となりうるだろう。
(なぜこの点を言わないか疑問である。)
もっとも、だからといって単純所持を違法化する理由にはならないのは言うまでもない。


こうした状況から日本が「児童ポルノ大国」という国内外の批判は根強い。主要8カ国(G8)中のほとんどはすでに単純所持を禁じている。


これも、根拠を示せといいたい。

まず、外国では児童ポルノが合法となっている国は138カ国に及ぶ。

もちろん、合法なのが標準という気はない(最初から一貫して主張しているように、製造・提供は違法とすべきである)が、この状況で日本が「児童ポルノ大国」とどうしていえよう。

前述のとおり、海外のサーバーを経由していることが多いということは、サーバーが設置されている国は児童ポルノの提供や公然陳列が合法だということである。
そして、そのことが、「発信者の摘発を困難」にしている要因でもある。
むしろ、そちらが「児童ポルノ大国」というべきだろう。

「児童ポルノ大国」といってきているのがどこか知らないが、児童ポルノの単純所持を要請してきたのはアメリカであるが、実はアメリカこそが圧倒的な「児童ポルノ大国」である。
過去のデータ(2003年)になってしまうが、児童ポルノサイト数は、1位がアメリカ(約10,000件)で、2位の韓国(1,300件)を大きく引き離して大量の児童ポルノを発信している。

それに比べて、日本は当時で約160件。

「日本はワースト8位の児童ポルノ大国だ」ということがよく言われるが、その内実をみればこんなもんである。

確かに8位は8位だが、発見された児童ポルノ関連の全サイトの1%にも満たない。
それを、6割以上を発信しているアメリカが批判しているのだから片腹痛い。

「8位」という数字だけをみて、アメリカの批判を真に受ける日本の政治家も浅はかとしか言いようがない。


G8の中で単純所持を禁じていないのは、日本とロシアだけである。
ちなみに、そのロシアは児童ポルノ発信国第3位(約1,200件)である。

だからといって、そのことから単純所持を禁じることが正しいとは言えないのは当然である。(この「当然である」ってのが理解できない人が多いようだ。)


多数決で善悪がきまるなら、世界の138国の大勝利だ。


ただ、プライバシーの侵害を懸念する意見も強く、小委員会では違法とする範囲を「収集の意思があった場合」などに限ることも含めて検討する。

プライバシーの侵害は、「収集の意思があった場合」に限ったところで解決される問題ではない。
そもそも、収集の意思がなかった場合に違法とされるわけがないのは当然の前提(故意犯処罰が原則である)であって、そんな場合まで違法になる可能性を最初から想定するほうがおかしい。

収集の意思があろうがなかろうが、児童ポルノを所持しているというだけで国家に介入されるという、そのこと自体がプライバシーの侵害なのである。


今回の朝日新聞の記事からも、規制推進派の説得的な論拠を見出すことはできなかった。
推進派は何が何でも規制したがっているようだが、ひとつもまともな理由が出てこない。

反対派議員の強い意見も聞けない。

こんな杜撰な議論に堂々と反論できない議員たちも情けないなぁ。


追記
さらにさらに、まだまだ続くのです。

→「番外編」を読む
→「続(×4)編」を読む
→「まとめページ」へいく


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